道具は職人の手の延長でもあり、非常に大切な物です。
家族それぞれ、太さや長さの違う箸を使っているように、道具も個人個人手に合うものを使わなければ、良い仕事をすることはできません。
鋳物師の道具は、世間一般に需要があるわけでなく、職人自身の手の大きさや、力具合によって寸法や重さが異なる為、その殆んどを手作りで作らなければならず、素材も多岐にわたり、銅、真鍮、白銅、はがね、ステンレス、アルミなど、用途によって素材のもつ特質を生かした道具を作り分けなければなりません。
古くから、玄関を見れば家庭の中が見えるように、職人社会でも道具を見れば腕の良し悪しが分かると言われるほど、職人の腕と道具は密接な関係にあるといえます。
不思議なもので、見た目も不恰好でだらしのないの道具を使っているうちは、仕事も下手で、使い良さそうな、いかにも隙のない格好の良い道具を作れるようになると自然と腕も上がってくるといった具合なのです。
ほんの一部ではありますが、鋳物師、仕上げ師の道具を紹介いたします。

鋳物師の道具

  • 生ベラ: 主に大きい面を平滑に仕上げる際に使用するヘラで、市販されており、自分の手に合わせ削るなどし、手を加える

仕上げ師の道具

  • きさげ:先端部には刃がついており、磨きをする際に鋳物表面を削る道具